キャリアの悩み、誰に相談したらいいか分からない。
友人や同僚には話しづらいし、民間のキャリアコーチングの無料体験もなんとなくハードルが高い――そんな方にぜひ知ってほしいのが、国(厚生労働省)が提供する完全無料のキャリアコンサルティングサービスです。
この記事では、この公的サービスの概要から申し込み方法、事前準備方法まで、初めての方でも安心して相談できるよう丁寧に解説します。
特に、事前準備が面倒そう…と感じている方に向けて、ChatGPTを使って“最小限の準備”で一歩を踏み出すコツもお伝えします。
「悩みを言語化できていないけど、誰かに相談したい」という方にとって、きっと前向きな一歩になるはずです。
“準備1割”で、気軽に相談してみませんか?
実は国が無料でキャリア相談を提供している

厚生労働省が提供する「キャリア形成・リスキリング支援センター」では、個人向けに無料のキャリアコンサルティングサービスを実施しています。
このサービスは、転職やキャリアチェンジを考えている方だけでなく、現在の職場でのやりがいや目標を整理したい方、仕事とプライベートのバランスに悩んでいる方など、幅広いキャリアの悩みに対応しています。
サービスの概要
- 対象者:年齢や職種、雇用形態を問わず、どなたでも利用可能です。
- 費用:完全無料で提供されています。
- 相談形式:対面またはオンラインでの1対1の面談(1回60分)。
- 相談内容:キャリアの方向性、スキルアップ、職場での悩み、仕事と生活のバランスなど、多岐にわたるテーマに対応しています。
キャリア相談の申込方法
申し込みは、アカウントを作って希望日時を選ぶだけで、誰でもすぐに申し込むことができます。事前準備が必要なのは予約のあとなので、まずは気軽に“予約だけ”してしまうのがおすすめです。
STEP1:アカウントを作成する
キャリアコンサルティングを受けるには、まずは「キャリ学ポータル|ICC」のサイトからマイページのアカウントを作成します。
①公式サイトにアクセスし、「お申込みはこちら」をクリック

②次のページで「【個人】キャリアコンサルティングに申し込む」をクリック

③次のページで、サービス概要や個人情報の取り扱いを確認し、「同意する」にチェックを入れ、オンライン面談を希望する場合はその旨を選択

④最後にマイページ登録画面が表示されるので、名前・メールアドレス・パスワードなどを入力し、アカウントを作成

これで登録は完了です。次のステップで希望日時を選ぶと、すぐに相談予約ができます。
STEP2:相談日時を選ぶ
①ログイン後「労働者向けキャリアコンサルティング(オンライン)を選択

②希望する相談日時をカレンダーから選択

③面談予定(日程)を確認した後に、相談内容を選び予約を確定させます

予約時には、相談内容を以下の中から選ぶだけ。文章を書く必要はありません。
- 現在の仕事について(モチベーション向上・仕事の進め方・職場の人間関係など)
- ご自身のキャリアの棚卸について(強みや弱みの整理・経験やスキルの振り返りなど)
- 今後の働き方や進む方向性について(ありたい自分の明確化・キャリアプラン作成など)
- ワークライフバランスについて(子育てや介護と仕事の両立など)
- 転職について
- その他
予約後にジョブ・カードの提出を求められますが、「事前に全部整えてからじゃないと申し込めない」ということはありません。
都合が悪くなったらキャンセルも出ますので、ご安心を。
次の章では、ChatGPTを活用してサクッと作れるジョブ・カードの最低限の作り方をご紹介しますので、ハードルを感じている方も安心して読み進めてみてください。
申込後に作成するジョブ・カードについて

キャリアコンサルティングを受けるには、事前に「ジョブ・カード」という書類の提出が必要です。これは、自分のキャリアの棚卸しや、今後の方向性をコンサルタントに伝えるための資料になります。
ジョブ・カードは下記のように複数の様式で構成されています。
ジョブ・カード一式(全4様式)
- 様式1-1:キャリア・プランシート(価値観や相談で話したいことの整理)
- 様式2:職務経歴シート(これまでの職務内容や担当業務の記録)
- 様式3-1:職業能力証明(免許・資格)シート
- 様式3-2:職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート
キャリア・プランシートだけ最低限書けばOK
実は、様式1-1「キャリア・プランシート」だけの提出でも相談は可能です。

「まだ悩みも整理できていない」「強みや方向性なんて今はまだよくわからない」――そんな状態でも大丈夫です。
たとえば、相談内容で「今後の働き方や進む方向性について(ありたい自分の明確化・キャリアプランの作成)」を選んだ方の中には、「様式2や3-1、3-2まで全部書かないと相談できないの?」と、ハードルの高さを感じてしまう方も少なくないと思います。
でも大丈夫。様式1-1だけ記入・アップロードしておけば相談を受けられます。
そこで次の章では、このキャリア・プランシート(様式1-1)をChatGPTを使ってサクッと作る方法をご紹介します。
それ以外の様式については、必要に応じて任意で作成すればOKです(本記事では詳細は扱いません)。
簡単な作成方法|ChatGPTとサクッと作るキャリア・プランシート

ジョブ・カードの中でも、提出が必須なのは様式1-1「キャリア・プランシート」だけでOKとお伝えしました。とはいえ、「何を書けばいいかわからない…」「白紙を前にフリーズしてしまう」という方も多いと思います。
そこでおすすめなのが、ChatGPTを活用して“たたき台”を一緒に作る方法です。
私自身も実際にこの方法で作成し、15分程度で違和感のないシートを仕上げることができました。
私が実践した4ステップ
◆前半3問:ChatGPTに投げて一緒に仕上げる
まずは、以下の質問をそのままChatGPTに投げかけました。
- 「大事にしたい価値観、興味・関心を持っていることなどを記入するための簡単な叩きを作成して」
- 「自分の強み、弱みを克服するために努力していることなどを記入するための簡単な叩きを作成して」
- 「今後やってみたい仕事(職種)や働き方、仕事で達成したいことなどを記入するための簡単な叩きを作成して」
返ってきた回答に対して、「この部分はちょっと違うかも」「もっとこういうニュアンスにしたい」などとChatGPTと対話しながら調整していきます。一人で考えるよりもずっと早く、自然な文章が仕上がります。
◆4問目:「これから取り組むこと等」
ここは、まだ具体的に決まっていない場合は
「相談を通じて整理していきたい」
と正直に書いてOKです。コンサルタントの方が一緒に深掘りしてくれます。
◆5問目:「その他」
こちらは自由記述欄なので、今感じている不安やモヤモヤ、相談してみたいことを素直に書いてみてください。
例:「今後の働き方を見直したいが、何から始めればいいかわからない」「強みや向いている方向性を一緒に整理してほしい」など
◆最後にカードに転記し、マイページにアップロードするだけ
最初から完璧な自己分析や明確な目標を書く必要はありません。あくまで相談の“材料”になるシートなので、まずはChatGPTで叩きを作って、少し手直しする程度で十分です。
「思ったより簡単だった」「これならできそう」と感じたら、ぜひあなたもこの方法でキャリア・プランシートを作ってみてください。
出来上がった文章をジョブ・カードの様式1-1:キャリア・プランシートに転記し、様式2や3-1、3-2は白紙のままでOK。それをアップロードすれば、事前準備は完了です。
あとは当日、コンサルタントと一緒にその内容をもとに相談するだけです。
前編まとめ|迷っている人こそ“準備1割”で一度試してみて

「キャリアのこと、誰かに相談したいけれど、民間サービスはちょっと営業色が強そうで不安…」
そんなふうに感じている方にこそ、国のキャリアコンサルティングサービスはおすすめです。
大事なのは、“完璧な準備”ではなく、“今の自分のままで話してみる”こと。
様式1-1(キャリア・プランシート)だけをざっくり埋めるだけで十分相談が受けられます。
まずはそういう一歩から踏み出してみてもいいのではないでしょうか。
次回の後編では、実際に相談を受けてみた体験談を詳しくお伝えします。
どんな雰囲気だったのか、どんな問いかけがあったのか、受けてみてどう感じたのか――
気になる方は、ぜひ後編もあわせて読んでみてください。